市販二輪車世界初採用のヤマハ電子制御スロットルYCC-Tに続き、可変吸気管長機構YCC-Iを採用。
フレームやフロントフォーク、リアスイングアームの剛性バランスを全面的に見直し、シートレールのマグネシウム化によるマス集中化を図るなど、とどまることを知らない進化を歩む、YZF-R6。
水冷4ストロークDOHC並列4気筒・4バルブ・のエンジンは最新電子制御技術によりマン・マシン・インターフェイスを具現化するヤマハの技術思想ジェニック”(G.E.N.I.C.H.)による、制御機能を向上させて搭載した電子制御スロットルYCC-Tに加えて、YZF-R1で採用された可変吸気管長機構YCC-Iを採用。FIの吸入空気量の変動に正確に対応して燃料供給制御を行なう特徴をさらに活かし、回転数・スロットル開度に応じファンネル長をロング/ショートに切り替えるシステムで、中低速トルク向上と高回転域でのさらなるパワー感によるパワフルで扱い易い特性を引き出している。
67.0mm×42.5mmのショートストロークに変更はないが、ピストン形状の改良により13.1の高圧縮比を実現。またクランクシャフト及びコンロッドの軸受けベアリングの材質と寸法の変更や、優れた疲労強度を保つ素材を用いたバルブスプリング、表面処理によって優れた硬度を確保したカムチェーンなどを新たに採用することで高回転化に対応して優れた信頼性を獲得している。
またフレームとの相互位置関係を最適化したクランクシャフト・メインシャフト・ドライブシャフトの3軸の配置としたサーキット走行で絶妙なギア配分を生むクロスレシオ6速ミッションは、ヘッドパイプ・ピボット・リアアクスルを結ぶマシンのロール軸に沿う直線的なフレーム形状に貢献している。
このほか、後輪側からクランク側へトルクがかかった際にクラッチプレートへの荷重を変化させトルクの伝達を制御することでリアホイールのホッピングやロックなどを防止し、コーナーリング時の姿勢制御を助けて滑らかな進入性を引き出すスリッパークラッチの採用、マフラー後端部形状変更によりさらにコンパクト化されたラムダセンサー付き三元触媒内蔵のミッドシップマフラー、排気管内の排気脈動を制御して吸排気効率アップを図る軽量・コンパクト設計のEXUP(エグザップ)など、新しい技術の積極的な取り込みと熟成を図っている。
金型鋳造&プレス材のハイブリッド構成のアルミ製デルタボックスフレームは、基本骨格は継承しつつ鋳造部材の剛性見直しとパネル材の形状・板厚変更により剛性と強度バランスを一新。旋回中の剛性バランスを高め、操縦安定性の向上を実現している。 またリアフレームは、ヤマハ独自のCFダイキャスト技術を発展させたCFマグネシウムダイキャスト技術による量産二輪車初の一体鋳造型のマグネシウム合金製として、車体のマス集中化を実現している。 このほかフロントフォーク、リアスイングアームの剛性バランスの最適化やアルミ鍛造のアンダーブラケット、リアサスペンションブラケットの軽量化など、細部にわたる全面的な見直しが図られた。
従来モデルの持つイメージを継承しながら『マス・フォーワード・ムーブメントとミニマムイメージ』をキーワードとして性能の進化を反映した新デザイン。「サイドパネル上端とタンク天面の造形がフロントへ向かう躍動感、そしてフロントの接地感を視覚化する造形デザイン」がYZF-R6のアイデンティティを強烈に感じさせる特徴となっている。